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入社1年目の冬、配属された新千歳空港は10年に一度と言われるような大雪に見舞われた。東京出身の私にとって、2メートルを超す積雪は初めての経験。みるみるうちに滑走路に雪が積もり、離発着不能となる。私はその未知なる光景に、目を奪われていた。あっという間に、足止めをされた大量のお客さまが空港内に溢れた。ふだんは裏方の私も、こんなときはANA FESTAの店頭に出てお客さまの応対をしなければならない。だが、これまで経験のない事態に頭は混乱状態で、お客さまに何をどのように伝えれば良いのか、戸惑うばかりだ。お客さまも、いつになったら運航が再開されるのか、何も分からない状況に苛立ちが募っている。何もできず、おろおろするだけの自分が歯痒かった。
そんなとき、上司が店舗スタッフを呼び集めた。「10分だけミーティングをして、各人の役割を整理しよう」。上司はそう言うと、テキパキと役を割り振った。ANA と連絡を取り運航情報を確認する者、仕入れ業者に緊急発注をかける者、お客さまに状況を説明する者といった具合に役割が決まっていく。この10分間で混乱していた頭の中はすっきりと整理され、冷静さを取り戻すことができた。緊急時にも冷静に状況を判断する上司の姿に、あるべき自分の未来を見た思いがした。
その日は結局、オフィスの床に転がって3時間余りの仮眠をとり、朝6時から再び業務に就いた。緊急発注をかけた弁当が飛ぶように売れていく。天気予報をチェックしていた先輩が、あらかじめ弁当の仕入れ業者に準備を依頼していたことを後で知り、改めて経験の差を感じた。積雪による航空網の麻痺から3日目の夕方、ようやく航空機が飛び始め、安堵感で胸をなでおろした。
全日空商事は、北は稚内、南は石垣島まで、全国34カ所の空港で店舗「ANA FESTA」を展開している。空港にいろいろな店舗がある中で、お客様が「ANA FESTA」を選ぶ理由をいかに用意するか。裏方で私たちが、販売データの詳細な分析に基づき、店舗に並べる商品や飲食メニューの開発をしたり、お客さまを誘致するための施策を打っている。現在私は後者の仕事を担当し、旅行代理店に向けて特典を付けたリーフレット等を作成、団体客を店舗に誘導する施策に取り組んでいる。

こうした取り組みももちろん必要だが、最も大切なことは、お客さまが欲しいと思うモノがその店にあり、気持ちの良い接客を受けることができるという、当たり前のことだ。消費者ニーズの変化が目まぐるしく、空港ごとの特性も全く違う中で、冷静にデータを分析しニーズを掴む。シンプルなのだが、じつに奥が深い。それだけに挑戦しがいのある面白い仕事だ。お客さま、店舗スタッフ、取引先などあらゆる人と会話しながら情報を仕入れ、どんどん施策に活かしていくつもりだ。「ANA FESTA」をお客さまからもっともっと愛される店舗にすることが、これからの目標だ。


