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広告メディア部では、エアライン系商社としての強みを発揮したメディアミックスによるプロモーションを展開するプロジェクトを推進している。ここでは、空港や機内などの各種媒体、ANAやグループ企業の持つネットワークを駆使して展開した広告戦略の事例をいくつか紹介しよう。
 
武井 実
広告メディア部
メディアプロモーションチーム
1998年入社
ANAのWeb上のショッピングモール『a-style』の立ち上げなど、これまでにも新規事業プロジェクトに参画してきた。現在は、広告メディア部のビジネス拡大に取り組んでいる。

広告メディア事業だけではなく、すべてのビジネスにも当てはまることだが、新規顧客の開拓や新規案件の契約は、市場や顧客に対するリサーチからスタートするのが基本である。クライアントにヒアリングし、どんな問題点を抱えているか、どんなニーズがあるかを探り出し、ビジネスチャンスにつなげるのだ。
 
ケース1: 某飲料メーカーが、発売中の機能性飲料の広告展開を模索していた。その商品は花粉症に効果があるのが特色だが、薬事法などの問題があり、効能を全面に出してアピールするのは難しい。また、なかなか望んでいるターゲットにアプローチできない。それが、メーカーが抱える問題だった。
ケース2: 大手通信会社のブロードバンド無線サービスのプロモーションに関する案件。コアターゲットであるビジネスマンに対して、いかに効果的な訴求を行うかが課題となっていた。テレビCMや街頭キャンペーンなどと費用対効果を比べても優位性のある広告戦略は?

「クライアントの立場になり、ニーズを探る姿勢が大切です。先方の担当者は日本のマーケットを代表する大企業の宣伝部のツワモノ・キレモノばかりで、みなさん多忙な方ばかり。ムダな時間を過ごさせないためにも、ヒアリングの前には、その会社の商品を徹底的に調べ、過去の広告展開の成否なども確認したうえで出向きます。予備知識なく行って、こちらの主張を一方的にまくしたてても信頼関係は生まれません。“ただの自己満足”に終わってしまいます」(武井)

クライアントのニーズを把握したら、それを実現する企画を練り、提案する。全日空商事の広告メディア部は、他の広告代理店と差別化を図るため、エアライン系商社の強みとネットワークを活用したプランニングに注力している。
 
ケース1: 全日空商事の有力顧客の一つに、某大手製紙会社がある。原料供給を手がけ、古くから取引のある企業だ。この会社は、近年、肌触りや保湿性に優れた高級ティッシュのヒット商品を生み出しており、広告メディア部ではそのプロモーションを担当した。商品のターゲットは、花粉症の人たち。そこで、同じターゲットを持つ飲料メーカーの商品とつなげ、2社をコラボレーションした広告展開を提案する。
ケース2: コアターゲットのビジネスマンたちは、出張で飛行機をよく利用する。そこで、飛行機に乗るまでの行く先々で、この通信会社の無線サービスの広告や情報を訴求するプランを提案。羽田空港に向かうモノレールの車両のボディに広告がペイントされ、社内には中吊り広告がある。駅に着くと、壁や柱などあらゆる場所にも広告が。空港内では、キャンペーンガールが販促ツールを配っている。さらに、出発ロビーにあるフリーペーパーの『SORANA(ソラーナ)』にタイアップ記事が、機内誌の『翼の王国』にも広告が掲載されている。そして機内CMが流れ・・、ダメ押しに近いほど繰り返し訴求を行うメディアミックス戦略である。

「クライアントは一度行った広告展開は二度と、踏襲しない傾向が強いため、企画は常に斬新なものが求められます。特に広告代理業に関しては後発の当社は、他社には真似のできないプランを提案しなければいけない。それには、柔軟な発想力と高度なプレゼンテーション能力が必要です」(武井)

大規模なメディアミックスの提案を行うには、その裏付けとなる媒体確保も不可欠である。全日空商事は、媒体仕入力を強化するため、画期的な方法を採用した。羽田空港の第2ターミナル開業に伴い、東京モノレールで主にANAの搭乗客が利用する新駅ができたが、その駅の広告スペースの使用権を買い取ったのだ。駅には、さまざまな広告スペースがある。壁の電飾広告、柱巻き広告、エスカレーターの手すり、改札口のステッカーなど、駅のほぼすべての場所が活用できる。それらすべての使用権を入手すれば、駅全体で同一企業や同一商品の広告展開が可能になる。こうした強力な媒体を持つからこそ、メディアミックスを実行できるのである。
「プランを実行するにあたっては、各種媒体主(オーナー)への交渉が欠かせません。空港のオーナー会社や雑誌の編集部など、媒体の責任者たちとは普段からよくコミュニケーションをとり、オーダーしやすい環境を築いています。それほど多くない人員で複数のプロジェクトを抱えていることもあり、私も含めてみんな毎日飛びまわっています。午前中にモデルを起用したある記事の撮影に立ち会って、午後は羽田空港で別の商品のリーフレットを自ら配っているなどということも(笑)。ただ、自分たちだけですべてを実行するには限界があるのも確かです。社外ネットワークも大切で、この業界は人脈が財産にもなりえます。できるだけ多くの人たちと知り合えるように異業種交流会などにも積極的に参加しています」(武井)

プロモーションは、実行すれば終りというわけではなく、その効果や反響を見届けなければいけない。通常、企画段階で効果測定の方法なども併せて提案する。具体的な方法としては、販促活動のレスポンスの統計や消費者へのアンケート調査の実施などだ。時には、専門の調査会社に発注して詳細なデータを収集・分析することもある。その結果をフィードバックし、次なる広告展開のプランニングに役立てていくのだ。もっとわかりやすい反応としては、クライアントから好評を得る、あるいは広告を手がけた商品の売上が伸びるなど、直接目や耳で確認できることも。武井たちにとっては、それが何よりの喜びになる。そして、その結果が次のビジネスにつながるのだ。
「新しいビジネスモデルを創造していくのが私たちの役割なので、ノウハウや前例がないケースが多く、難しい部分もたくさんありますが、同時にそれがやりがいでもあります。私は、どんな難題に直面しても、最初から無理だと絶対に諦めないことを信条にしています。そこを突破してこそ、ビジネスチャンスが生まれるからです。若い人材のほうが、経験がないぶん、向こう見ずな突破力がある。うちの部署以外でも、若々しい発想や斬新なアイデアは、どんどん取り入れられていると思います。全日空商事は、自ら手を挙げれば、いろいろなことにチャレンジできる会社だと思います」(武井)